2018年1月5日金曜日

1月の和菓子【亀屋良長】

全国各地で雪が舞うと囁かれる今日この頃。

今回のお話は和菓子のお話。日本の季節は2週間ごとに節気があり、和菓子も2週間ごとに季節を先取りして変わっていくものなのです。本心を申せば流行を追っかけたいのは山々なのですが、私が和菓子をレポするよりも季節の方が速度が速い、、、そう、前回和菓子レポをしたのはいつ頃だったでしょうか(/_;)創作和菓子は一期一会なので、その機会を失いたくないものです。


さて、冬ものの和菓子というと、“蒸し物”が増えてきます。(夏の水菓子系・葛や寒天はお休み。)蒸し物とは、薯蕷饅頭や黄身時雨など、蒸し器を使って仕上げるものを言います。


そこまで言っておきながら、


蒸し物を、、、食べよう!と思っていたのですが、、
年中有効自由題材の、きんとん姉さんにまたしても心惹かれ、きんとん製をチョイスしました。

そう、私の中で、きんとんを題材とするものは必然的に上位に来てしまうのだ・・・!!
(きんとんも蒸し物なんだけども)


きんとん製  菓子銘【薮柑子】←やぶこうじ、と読みます。

制作は亀屋良長さんの作です。

伝統と歴史がある中で、新しいことや、新しい商品に次々と挑戦するタイプの和菓子屋さんで、最近ではテキスタイルデザインのsousouさんとコラボして、京都のお土産コーナーにその素敵☆斬新な和菓子が仲よく並んでいます。

柔軟さが感じられる和菓子店で、京都の数ある和菓子店の中でも個性が光っていると思います。


今回のお菓子、【薮柑子】はお正月の縁起物の意味がありまして、この見た目、抽象的ではありますが何かの植物を思い浮かべることでしょう。


薮柑子とは、十両の別名です。冬に赤い実を付ける十両という植物。

(江戸時代から古典園芸植物として普及し、明治時代の庭木ブームでは、名のついたお高い苗木が1000万で取引されたとか。日本ではそんな縁起のよい庭木です。現在では40種の品種があるそう。)

この和菓子には、よい年を迎えられますようにという願いが込められているそうです。


よく見ていただきたいことがもう一つあるのですが、
てっぺんのキラキラにお気づきでしょか。

“寒氷”←かんごおりという、和菓子の原材料です。
雪や霜を連想させてくれますね。

柔らかい色合いの薯蕷きんとんの中に、白色が織り交じっているのにも、
緑を中和する優しさかな、と思ったり、アクセントの赤をドきつく見せないための優しさなのかな、と思ったり、私個人的には絶妙な色彩バランスが心にときめいた作品でした。

中はすっきりした粒あんで、芋の風味を感じるきんとん、甘すぎず柔らかなお味!


菓子皿やお抹茶茶碗も季節を感じさせられる一品です!

菓子皿は淵に紅白の縞模様、お茶碗は色変わりのモミジやイチョウや松葉を描いた「吹き寄せ」の絵付け。

吹き寄せ、とは落ち葉や枯葉を木枯らしが吹き寄せるの意味で、秋冬用の和菓子に「吹き寄せ」という干菓子の詰め合わせ商品もあるほどです。
この時期の和菓子店の店頭には、定番の吹き寄せが並んでいるはずですよ。
ひゅるり~ひゅるりらら~。




この日和菓子を頂いたのは京都駅ビルにある「京都茶寮」
気軽に、いろんな和菓子店の季節の生菓子が選べるのでおすすめです。和菓子屋さんに直接入るのに勇気がいる人はぜひこちらへ。
慣れてきたら和菓子屋さんへ!(←最終的にはこっちをおすすめするよ)



おまけ。

京都駅、実は屋外の一部で花壇に植え込みがあるんです。
ツバキやツワブキが咲いていました。癒しのプチスポットですよ。




以上、薮柑子のお話でした。
薮柑子は現在でも中国で生薬として使っているらしい。

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