2017年7月23日日曜日

青紅葉と桔梗を愛でる 【鶴屋弦月】

東福寺天得院

年に二回の限られた期間だけ、桔梗を愛でる特別拝観でお庭を公開しています。ここには何度も足を運んだことがありますが、やはりおすすめ上位に挙がる寺院です。普段非公開で、公開時期が決まっており、なかなかおすすめできないのが悔やまれるのですが、時期が合えばぜひご覧になってください。
敷地内に東福寺幼稚園があり、平和で、広大な東福寺の塔頭の中でも特に癒される空間です。お客さんがいなくてめっちゃ暇そうな時に、お茶を出してもらった記憶があります。住職さんと気軽にお話できたり、管理のおばちゃんたちはとても親切。


桔梗。万葉集にも記載がみられる東洋の花で、中国漢方では根っこを薬に使っているそう。今でも漢方薬で使われています。犬夜叉にも出てきます、桔梗様。懐かしや。


そんな桔梗、実は野生種は絶滅危惧種なのです。確かに野生で外に咲いている桔梗は見かけません。園芸種はこうして手入れされ、支柱などを使って丁寧に育てられますが、一つの苗からそんなにたくさんの花がぽこぽこ咲くわけでもなく、見ての通り繊細で可憐な花です。


庭を眺めながら、和菓子を頂くこともできます。
ご近所にある御用達の和菓子店【鶴屋弦月】さんが手がけています。↑のような、桔梗をかたどった和菓子(*^_^*)少し風に揺れている感じの桔梗を表現しているような気がします。

それとは別に、奥のお座敷でお料理や甘味の営業もやっているようです。


南向きなので、桔梗の花が全体的に真逆を向いてしまっていますが、太陽の方に向かって咲く花の自然の摂理なので、ありのままの姿を眺めましょう。

英語ではballoon flower
というのも、まだ開花していない蕾がふわふわの風船のように見えるから。
想像されるなら、ゴム風船より、折り紙で折った風船の方が似つかわしいと思います。




手水鉢に桔梗、素敵な演出です。


禅寺でよく見られる、花頭窓。デザインは様々ですが、花びらがモチーフです。
ちなみに東福寺は、南禅寺・相国寺・建仁寺などと並ぶ京都五位に入る禅寺で、室町時代から広大な土地を有し、たくさんの禅僧を輩出してきた有力な禅寺です。

蓮の花も見頃です。(蓮は東寺、鶴岡八幡宮がおすすめ)
謎のオブジェに癒されます。


もちろん桔梗の紋。あらゆるところに隠れているので見つけてみては?
東山七条の智積院さんもたしか桔梗の紋でしたね。




天得院までは青モミジの参道が。
この時期にありがたい涼しい木陰になってくれます。
東福寺は紅葉が有名で、一年で最も混み合うのが紅葉のシーズン。この清々しい参道が秋には前に進めないほどの人で埋め尽くされます。恐ろし!!

三脚禁止や橋の上での撮影は危険なので止まるなとあれだけ警備の方が叫んでいても、ルールを聞き入れてくれない人がいるのは毎年ながら、残念なことです。
そりゃみんな美しいものは写真に収めたいことでしょう。
しかし大多数の人間があんな古い重要文化財の木製の橋をずーっと渡っていたらいつ落ちてもおかしくありません。意地悪で言っているのではなくて、文化財保護の観点で寺院側から呼びかけているのです。

清水寺の、ヒール靴での拝観はご遠慮くださいっていうのも同じです。清水の舞台、修理中ですが、江戸年間に建てられたもの。当然草鞋やスニーカーに比べてピンヒールの圧は何倍にもなります。ピンヒールの圧力に耐えられず床の損傷が激しいそうですよ。

という現実的な話になりましたが、、


真っ赤に染まった紅葉もいいけど、夏の青い紅葉も爽やかでおすすめですよ!
爽やかなグリーントンネル♪





桔梗の見ごろはあっという間に過ぎてしまいましたが、七月の一か月間はまるっと祇園祭。
以前は33基すべての山鉾保存会を巡って謎の達成感を味わっていましたが、体力的にもうそんな力は有り余っていません(笑)
今年は前祭(さきまつり)の推し鉾「月鉾」を見学し、「鶏鉾」のお囃子を聴いてきました。山鉾によって、お囃子や浴衣や提灯のデザインが違うので、そこらへんが通の見てるところです。




八月は五山の送り火。大文字焼きじゃないよ。
なんだかんだ、この大暑を乗り越えたらもうそこには秋の気配が待っている!!(と思いたい)
そういえば全然浴衣を着ていない!もったいない!

2017年7月9日日曜日

常夏!7月の和菓子 【鶴屋吉信】【オ・グルニエドール】

盛夏極まる七月。
暑い日々をどうにかして涼しく乗り切りたいものです。小暑を過ぎ、夏は初夏、梅雨、盛夏、晩夏に分けられますが、梅雨が終わった辺りから、夏の一番暑い時期七月中旬~盛夏と呼ぶそうで、文字を見ただけでも暑気がしますね。

先月は水無月を無事に食し、ついつい七月は和菓子を食べ損ねてしまうのですが、一年を通していろんな題材があるのでネタは尽きないもの。夏らしく、みずみずしいお菓子が並びます。こちら、お馴染みの【鶴屋吉信】さんの季節のお菓子。チョイスした理由は、やはりデザインと、由来を聞いてみたところ自分の知らなかった題材だったので調べてみようと思いまして。(勉強不足です。)



包装紙がとても素敵なので、自分で封筒に作り替えたりしています。


菓銘『常夏女』
とこなつめ。常夏、まさに今です。ピンクに染めた白あんを、の生地で包んでいます。見た目は餅か??と思って店員さんに聞いてみました。(どこの店に行っても質問攻めにしてしまい迷惑な客です。)
葛と餅の食感は明らかに違い、葛はぷるんとしてあっさりのど越しも良い、夏に最適の材料です。そんな季節感のある食感でした。

常夏女、題材は源氏物語 第26帖常夏の巻

この巻は盛夏の真夏に六条邸で源氏と仲良しの者たちが納涼に集まったことが書かれていて、前後の話の繋ぎのような部分なのでここだけを切り取るとさっぱりつかめない内容になってしまうのですが、ここで、常夏と呼んでいるのは、亡くなった元恋人夕顔。娘の玉鬘が夕顔そっくりで美しく、源氏は養女にしてしまったのです。
源氏の(義理の)娘、玉鬘(たまかずら)ちゃん、養父源氏と養女玉鬘の恋物語の展開、はじまる!というのがこの辺りの巻のお話。息子の夕霧も巻き込んでいきます。


源氏から玉鬘へ
「撫子の とこなつかしき色を見ば もとの垣根を人や尋ねむ」

返歌
「山賊の 垣ほに生いし撫子の もとの根ざしを誰れか尋ねむ」

という歌のやり取りからも撫子と、とこなつが縁語になっていて、他の技法も使いこなすさすがは文字の術者 紫式部!!
この歌から、撫子(なでしこ)の別名は常夏で、撫子=美しいものという流れができたのですね。夕顔が亡くなって源氏が病んでしまったぐらい、美しかったのです。


源氏物語はノンフィクションです。作家紫式部による長編大作で、1200年読み継がれてきたベストセラーです。お固く古文を読まなくても、最近は分かりやすい四コママンガや文庫本でもあります。個人的には

吉野敬介『一日で読める 源氏物語』/2010年 PHP文庫
小泉吉宏『まろ、ん?』/2002年 幻冬舎

が分かり易くておすすめです!




長くなりました!!次へ参りましょう!

菓銘『星願い』
題材はもちろん、七夕。夜空に天の川と織姫と彦星をあしらった作品。
中は粒あん、外は餅。餅に色の重なりを入れてグラデーションに見せている技術が見所です。餅が柔らかく、マシュマロのような柔らかさ。きっと配合に秘密がある!!(そこまではさすがに聞き出せない。)

七夕は古来日本の伝統行事だと思われがちですが、中国の故事が源。機織り裁縫を司る棚機女(たなばたつめ)は琴座のベガ、農業を司る鷲座のアルタイル。この二つの星が天の川を挟んで一年に一度一番輝く日、それが七夕。中国ではこの日がめぐりあいの日だと考えられ、七夕ストーリーが考えられたのです。
ちなみに七夕が日本で五節句になったのは、江戸時代です。意外と新しい~。
そもそもは7月7日の夕刻のことを七夕(しちせき)と呼んでいたらしいのですが、棚機(たなはた)にちなんで、呼び方が変わっていったそう。個人的には棚機のほうが日本語の美しい感じが出て良いと思うんですけどね。

税として収めていた貴重な布、そしてちょうど稲作シーズン、そう思うといろんなことがリンクされる七夕ですね。

旧暦の七夕は8月。まだまだ七夕気分ですよ。


断面はこんな感じ。葛と餅の違いを視覚で。

ちなみにー、鶴屋吉信の代表銘菓、『京観世』こちらもおすすめ。
(冬に食べた方が美味しいかもしれない。)




お話かわりまして、、、、
錦を歩くことがあったのでお写真をば。


こちらは寺町のてらぼん。↓


どこのお店でしょう????
正解は「SHINSETSU」クリームソーダのお店です。カラフルなクリームソーダがインスタ映えするとか。クリームソーダは飲まなかったけど。
1時間以内に出ないといけません!!!


来ました!錦市場。混んでいるのは嫌なので、避けて避けてきましたが、雨の日は屋根のおかげで濡れません!やったね!
伊藤若冲の生家が錦市場で青物問屋(八百屋さん)を営んでいたので、最近は作品が吊るされていて、歩く美術館みたいです。良い取組みだと思います!でも上ばっかり見て危ないし前に進めない・・・。
このあほっぽい龍が、いいね!(笑)


話題の(?)スヌーピー茶屋を正面から偵察。
ここ、前何があったっけ?漬物屋さん?
海外のお客さんがひっきりなしにスヌーピーさんと記念写真を撮って行かれます。
スヌーピーさん、お疲れのご様子。また今度な!



堺町錦上る にある【パティスリー・オ・グルニエドール】
前回、製菓の友人たちと集合した際に行きました。細く長く通っているので、この店のほとんどの種類のケーキはもう食べ尽くしたんじゃないかと、、、。いや、季節の商品はまだだ!ということで、「赤い実のタルト」を賞味。


グルニエの斜めお向かいにある珈琲店の看板。喫茶店ではなく、昔からある焙煎所のようです。グルニエの前で集合していたら、お向かいさんに声を掛けられたのです。
見学できるらしいのでまた次回、見学に行こうかと思います。